10月 ROCK'N ROLL DIARY BACKISSUE
10月10日 日曜日 曇り ラリラリ東京

朝11時、京都のホテルにて起床。
サユリちゃんに連れられ、スタッフと共にパスタを喰う。絶品。パスタ星人の俺はその奥の深さに感激した。東京に戻ったら、早速試してみることにしよう。
京都駅でサユリちゃんと別れ、俺はソウルフラワーのスタジオ、その名も「魂花神社」に行く。ゲイリー中川は俺を誘っておきながら、自分は二日酔いでダウンしていた。ま、我々酒のみにはよくある話だ。
俺は奴等の音楽が好きだが、インテリアのセンスの無さには脱帽する。「神社」には立派な機材があるのだが、天井にはスポーツ新聞の阪神に関する見出しがくまなく貼られ、椅子はその辺で500円で買えそうな代物である。せめて蛍光灯だけは止めたらいいのに、とか思う。かの灯りは「殺人光線」だと思う。
さて、奴等がレコーディングしていたのは日本のムード歌謡であった。これが強烈なのだ。俺は自分が産まれた国でかつてこんなに強烈な歌が存在していたのを知らなかった。
タイトルからして「資本論ブルース」(「君をオルグするぜー」なんて歌詞があって、俺は500円の椅子から地面に落ちた)とか3曲500円(意味分かるよね?)とか「早く入れて」(何をだよっ!)とか、エトセトラ。強烈なのだ。おまけに妙に演奏や音は確かだったりする。
一筋縄ではいかない奴等が選んだ曲、それは「ラリラリ東京」。やって来ないゲイリーの代わりにベースの河村が俺のために仮歌を歌ってくれたのだが、あまりのスゴさに俺は笑い転げながら、鳥肌が立った。スゴイ、スゴ過ぎる。トム・ウェイツ風のオケにヒデちゃんの「ラリラリ」なるおはやし。突然アラブの旋律が出てきて、結婚行進曲と六甲おろしが途中に挟まれている。ラリっていると云っても、これは麻薬ではなくシンナーかボンドに違いない。(彼等がラリっていると云う意味ではない。念のため)おまけに方向性は全く決まっていないらしい。
その後、二日酔いのゲイリーとヒデちゃんが登場。そこにあったブズーキを弾いていたら、突然ゲイリーが「そやブズーキええなぁ」と一言。そんな訳で俺はこの奇妙キテレツで一度聴いたら二度と忘れない曲にブズーキをダヴィングしたのである。俺は彼等からかつて様々な刺激を受けてきたが、今回は格別であった。まったく何処にもない音楽を創り出そうとしている。方向性が何であれ、俺はその姿勢が好きだ。出来上がりが実に楽しみである。
夕方、新幹線で東京へ。レコーディングが楽しかったのは良いが、頭から「ラリラリ」が離れない。車内でついつい歌ってしまう。近くの乗客が俺を不気味がっていたことは云うまでもない。